事務所の電話が鳴り、受けた人が担当者へ取り次ぐ。隣のFAXには取引先からの注文書が届く。会社の電話を見直すときは、電話機だけでなく、こうした毎日の仕事も確認する必要があります。

「固定電話がなくなるらしい」と聞けば、名刺に載せた番号や、使い慣れたビジネスフォンが気になるはずです。ただ、メタル回線から光・モバイルを用いたサービスへの移行と、会社の番号や機能がそのまま使えるかは、分けて考える必要があります。

2026年8月28日、総務省は「モバイル網固定電話のユニバーサルサービス化」に関する答申を公表しました。審議会が省令案等の改正を適当と認めた段階で、公表資料に施行日は書かれていません。

この記事では、その答申を材料に、会社の電話で引き続き確保されるよう制度案が求めるものを整理します。そのうえで、自社の番号、緊急通報とFAX、業務機能を点検する順番を示します。

この記事でわかること

  • モバイル網固定電話を、基礎的な電話サービスに加える案の内容
  • 番号・基本料金・緊急通報・FAXについて、制度案が求めること
  • 自社の電話を切り替える前に確認する順番

携帯電話網を使って、設置場所の決まった固定電話を提供する案です

モバイル網固定電話は、携帯電話網を使う固定電話サービスです。利用者の建物に置くターミナルアダプタという機器が、携帯電話網につながります。固定電話番号と携帯電話番号を変換して通話する仕組みで、携帯電話会社はすでにこうしたサービスを提供しています。

今回の案は、一定の条件を満たすサービスを「ユニバーサルサービス」に位置づけるものです。ここでは、提供義務などを課して確保する、基礎的な電話サービスと捉えると読み進めやすくなります。

条件には、設置場所を特定すること、基本料金が加入電話を超えないこと、通常の通話と緊急通報を提供することがあります。携帯電話網を使う電話なら、すべてが同じ扱いになるという案ではありません。

NTT東西は、メタルから光・モバイルを用いたサービスへの移行に向け、携帯電話会社から卸提供を受けることを要望しています。その提供は光提供区域以外を基本とする案です。光提供区域では、光電話を勧めたうえで利用者が希望する場合などに限定されています。

回線の仕組みが変わっても、番号や通報には条件が残ります

固定電話番号には、地域ごとの番号区画があります。制度案では、契約時に端末の設置場所を確認します。さらに、番号区画の外で使われないようにする技術的措置を求めています。携帯電話網につながる機器でも、自由に持ち歩く前提ではありません。

一方、この規定だけで、いまの会社の番号を引き継げると判断することはできません。設置場所に関する条件と、契約変更時の同番移行の可否は、別に確認する事項です。

料金については、基本料金の上限を加入電話の最高額と同じにする案です。事務用は3,080円、住宅用は2,090円とされています。これは基本料金の上限であり、会社の電話にかかる総額が現在と同じになるという意味ではありません。

該当するサービスの事業者には、提供義務や契約約款の届出義務を課す案です。休廃止の周知・届出や、技術基準に適合した状態を維持する義務も含まれます。

緊急通報とFAXも、制度案が確保しようとしている機能です。ただし、緊急通報では携帯電話番号を通知します。当面はGPSや基地局による位置情報を通知する、現行サービスの仕様での提供を可能にする案です。FAXは、他の固定電話サービスと同様に、正常な送受信が行えることを規定しています。

取次や録音まで、答申が保証しているわけではありません

電話を受けた人が保留し、担当者につなぐ。外出中の担当者の携帯へ転送する。こうした操作まで含めて、会社では「電話が使える」と考えることが多いのではないでしょうか。

答申の資料が扱っているのは、音声通話、緊急通報、FAX、料金上限、品質などです。複数人での取次、携帯への転送、通話録音、拠点間の内線といった業務機能は、資料には出てきません。

そのため、制度案の要件を満たすことと、現在の仕事の進め方を保てることは、別に確かめる必要があります。据え置きの電話機やビジネスフォンを引き続き使えるかも、切替先へ確認する項目です。

自社の確認は、番号から始めると話を進めやすくなります

最初に確認するのは、会社の番号です。現在の回線、番号種別、契約先を整理し、移行先に同じ番号を使えるか照会します。「番号を残したい」という希望を、機器や機能を選ぶ前に伝える順番です。同番移行については、番号ポータビリティの考え方も参考になります。

次に、緊急通報とFAXの用途を確認します。事務所から緊急通報する際に、どの回線を使うのか。FAXは何の書類に使い、送信と受信のどちらが必要なのか。切替先の仕様と照らせるよう、実際の用途を書き出します。

モバイル網固定電話の制度案にFAXの規定があっても、それを別種の電話サービスに当てはめることはできません。候補ごとに対応を確認する必要があります。電話が使えない場合の連絡方法を考える際には、クラウド電話のBCPも確認材料になります。

最後に、業務機能です。「転送が必要」だけでなく、誰が受け、誰につなぎ、相手が不在ならどうするかを整理します。録音や拠点間の内線も同じです。この内容を切替先に示すと、必要な機能を具体的に確認できます。

クラウドPBXを候補にする場合も、通報とFAXの確認が必要です

VoiceLine PBX クラウド版は、クラウド型のPBXです。03や06などの会社の固定電話番号を活かして使えます。同番移行の可否は回線・番号種別・現在の事業者で異なるため、まず相談が必要です。スマートフォンやPCのソフトフォンで会社の電話を受けられ、通話録音に対応しています。緊急通報(110・118・119)とFAXには対応していません。緊急時の通報手段は、別の回線を必ず用意する必要があります。相談と見積りは無料です。

まとめ

今回の答申は、モバイル網を使う固定電話を、条件付きで基礎的な電話サービスに加える省令案等を適当としたものです。総務省は速やかに改正等を行う予定としていますが、施行日は示されていません。

自社での検討は、番号を引き継げるか、緊急通報とFAXをどう確保するか、業務機能が足りるかの順で進められます。現在の契約と日々の電話の使い方を整理することが、切替先を判断する材料になります。

出典

  • 総務省「電気通信事業法施行規則等の一部を改正する省令案等(モバイル網固定電話のユニバーサルサービス化に関する規定の整備)に対する情報通信行政・郵政行政審議会からの答申」2026年8月28日 報道資料、別紙1 省令案等の概要(PDF)、別紙2 意見募集の結果(PDF)